アトピー性皮膚炎④/モイゼルト

2024年03月10日 08:09
カテゴリ: 皮膚

2024年 3月12日

モイゼルト軟膏(ジファミラスト)

・ステロイドでない新しい塗りで2022年頃から使用されています。3ヶ月以上の患児に使用出来ます。
・モイゼルト(一般名:ジファミラスト)は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の外用薬です。炎症性サイトカインなどの化学伝達物質の過剰産生を抑制して皮膚症状を改善する薬剤です。
・3ヶ月以上14歳以下の小児にはコレクチム軟膏0.3%&1%、15歳以上にはモイゼルト軟膏1%が使用可能です。

*最近、乳児期の湿疹をコントロールすることで食物アレルギーやアレルギーマーチの予防に繋がると言われています。

どんな薬?

① モイゼルト(一般名:ジファミラスト)軟膏は、ステロイドではない外用薬です。アトピー性皮膚炎に適応があります。

② モイゼルトは、PDE4阻害剤(ホスホジエステラーゼ4阻害剤)です。

モイゼルト軟膏を外用すると種々の炎症性サイトカインの産生が抑制されます。炎症性サイトカインは、アトピー性皮膚炎におけるアレルギー炎症、痒み、皮膚バリアー機能障害の成因に深く関わっています

(PDE4はcAMPを分解する酵素ですが、これを阻害することで種々の炎症性サイトカインの産生が抑制されます。)

③ タクロリムス水和物(プロトピック軟膏など)は使用時にヒリヒリ感やそう痒感などがしばしばありますが、コレクチムはそのような刺激感があまりありません。

④ 生後3ヵ月から使用可能です。モイゼルトを離乳食の始まる前から保湿剤と共に使用し湿疹をコントロールすることが、食物アレルギーやアレルギーマーチの予防につながるというデータもあります。

効果は?

① 炎症を抑える効果は、タクロリムス水和物(プロトピック軟膏など)に比して劣ります。
モイゼルト®軟膏はステロイド3群(リンデロン®)と4群(ロコイド®)の中間ぐらいの強さと考えられます。

② ステロイド外用薬に比べて抗炎症作用は弱く、炎症急性期の沈静化(寛解導入)には不向きだが、炎症抑制状態の維持(寛解維持)に向いています。

③ 最近、皮膚角層の健全性と保湿性を向上させ、皮膚バリア機能をアップさせるとする報告もあります。

使用法は?

① モイゼルト軟膏を1日2回、優しく患部に外用します。年齢により以下の軟膏が使用可能です。

生後3ヶ月以上~14歳以下:  0.3% 1.0%
15歳以上~70歳以下 : 1.0%

② 1回の塗布量は制限はありません。

③ 塗る時の目安は、「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)で、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗り広げてください

<注意点>
・感染のある部位は避けること。
・稀ですが色素沈着障害、毛包炎、そう痒症などの副作用が発生する場合があります。
・妊娠中や授乳中も使用は可能ですが、なるべく避けた方がいいという意見もあります。

>> 次回はその他(内服,注射薬)の予定です

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