アトピー性皮膚炎②/プロトピック

2024年03月04日 08:44
カテゴリ: 皮膚

2024年 3月8日

2024年3月10日更新

プロトピック軟膏(タクロリムス)

・0.1%製剤は16歳以上、0.03%は2歳以上のアトピー性皮膚炎の方に使用できます。
・ステロイドでない新しい塗りクスリの中ではもっとも古く1999年頃から使用されています。2ヶ月以上の患児に使用出来ます。(コレクチムやモイゼルトは2020年前後から使用され始めました。)
・使用開始当初にヒリヒリ感などの刺激が認められことが多くあります。(特にジェネリックに多いと言われています。)
・0.1%製剤にはジェネリック製品もあります。(先発プロトピック、後発タクロリムス)

どんな薬?

① プロトピック軟膏は、ステロイドではない外用薬です。そのためステロイドの長期使用での副作用(皮膚が薄くなる、多毛になるなど)が大幅に軽減されています。

② 過剰になっている免疫反応を抑制することで皮膚の炎症を抑えます。

③ 分子量(薬の大きさ)が大きく正常な皮膚からほぼ吸収されません。病気の皮膚からは吸収されて効果を発揮し、皮膚の状態が改善してくると吸収されなくなります。「塗りすぎの心配が少ない」と言えます。

効果は?

① コレクチムやモイゼルトに較べ炎症を抑える作用は強く、0.1%軟膏(16歳以上)はステロイドのストロング程度、0.03%小児用軟膏(2歳~15歳)はステロイドのマイルド~ストロング程度と言われています。

② 皮膚に吸収されにくいので、顔や首のように皮膚が薄い場所で効果が出やすく、体幹・四肢・手足のように皮膚が分厚い部分は効果が劣ります。

副作用は?

① 外用時にヒリヒリ感、刺激感、ほてり、かゆみなどがよくみられます。皮膚の状態が改善するにつれ刺激症状は軽くなってゆきます。他にはにきびなどの副作用も時にみられます。
(ヒリヒリ感はジェネリック製剤の方がより目立つ傾向にあります。)

② 発売当初はリンパ腫や皮膚がんが発生しやすくなる可能性が指摘されていましたが、最近の大規模な研究では否定的です。

③ ステロイドの長期使用での副作用(皮膚が薄くなる、多毛になるなど)が大幅に軽減されています。

使用法は?

① プロトピック軟膏を1日2回、優しく患部に外用します。
( 0.1%軟膏は16歳以上、0.03%小児用軟膏は2-15歳の小児に使用します)

<< 刺激症状が強い場合の対応 >>
*ステロイド外用で炎症を抑えてから使用する。
*保湿剤(ヒルドイドなど)の上に重ねて外用する。(最初から混合は好ましくない。)
*成人であれば小児用プロトピックにする。
*入浴後など皮膚がほてっているときは外用しない。
*冷やす

② 1日の外用量の上限
2-5歳(20kg未満)2 g
6-12歳(20-50kg)4 - 8 g
13歳以上(50kg以上)10 g

③ 塗る時の目安は、「ティシュがくっつく、テカるくらい」です。人差し指の先端から第一関節まで出した量(1FTUと言い、約0.5g)で、手のひら2枚分ぐらいの面積に塗り広げてください

<注意点>
・皮膚がジュクジュクしている部分、おできやにきび、皮膚以外の部分(口や鼻の中の粘膜)や外陰部には使用しないように。
・塗った患部を長時間、日光にさらさないように注意してください。また、日焼けランプや紫外線ランプも使用を避けてください。
・妊娠中や授乳中も使用は可能ですが、なるべく避けた方がいいという意見もあります。

>> 次回はコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の予定です

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